地域と未来を紡ぐ
ものづくりの新たな挑戦

株式会社藤原

藤原 弘三
Kouzou Fujiwara

製造業の私たちに出来ること

 株式会社藤原 専務取締役。スズ製酒器「NAKAGO」の製品化とブランドの立ち上げをきっかけに、地元の酒米山田錦100%で醸した日本酒「松沢」のリリースや農業部門「なかご」の設立を行う。鋳型中子製造業の枠を超えた事業はこれだけに留まらず、自社にも地元にも熱い想いを持つ。
 体験では、スズ製のオリジナル酒器を制作し、山田錦の田んぼが見渡せる場所で制作した酒器を持って地域オリジナル銘柄の日本酒(村酒)やランチを楽しむ。その土地の空気・景色を五感で感じ、ここでしか出来ない体験と癒しの時間を過ごしていただく。

EPISODE 01

自分たちができるものづくりとは何か

株式会社 藤原について教えてください

 株式会社藤原は、鋳型中子(※)の製造を主な事業として、自動車や鉄道車両、建設機械など鋳物の大量生産とコストダウンを支えてきました。20種類の砂を活用し強度と審美性の高い弊社の中子は、精密で高品質なため高い評価を得ています。また、長年培ったノウハウを活かし自社で中子と金型の一貫生産を行っているため、従来よりも設計から製造までの納期短縮を実現しています。

 今でこそ少しずつ変わってきていますが、入社した当時は、とにかく素早い対応をモットーに現場は納期のためなら時に休日も出勤して顧客の要求に応えるという無理な働き方も伺えました。この現状では、現場の社員たちのやりがいにはつながらず、ただ作業をこなす機械のような働き方になりかねない。

 自分たちの仕事が世の中にどう影響し役立っているのか、自分たちができるものづくりとは何か。これらを考え「雇用」と「新しい製品作り」に力をいれていくようになります。

※鋳型:金属製品(鋳物)を冷やし固めてつくる際に溶かした金属を流し込む金型
※中子(砂型):鋳造品に中空部を作るために鋳型の中に設置する砂型

Interview

EPISODE 02

技術に“楽しみ”をプラスして生まれるもの

「雇用」と「新しい製品作り」…具体的にはどういったことを行なったのでしょうか

 雇用において重要なことは、従業員の「定着率」を高めることです。多くの人材を採用しても、すぐに退職してしまっては意味がありません。従業員がやりがいを感じ、楽しめる仕事や働きやすい環境を整えることが最も大切だと思います。

 やりがいや楽しみを生み出すために、最初に取り組んだのは自社の製造技術を活かし、皆でアルミコップを作ることでした。私たちの仕事は部品作りが中心で、一般的にはその魅力が伝わりにくいのが実情です。しかし、完成したアルミコップを見て皆が喜び、自分たちの技術がこうしたものづくりにも応用できるのだと楽しみを感じた瞬間でした。これが、後にスズ製酒器「NAKAGO」の製品化へとつながります。

 「NAKAGO」の立ち上げ、続く日本酒「松沢」のリリース、さらに農業部門「なかご」の設立は、見方によっては多角経営に見えるかもしれませんが、すべては「雇用」につながっています。自分たちの仕事に誇りを持ち、「楽しさ」をものづくりに反映させることで、その姿に共感した若い世代が「私たちも!」と手を挙げてくれることを願っています。

EPISODE 03

地域の誇りを胸に新たな価値を生み出す

地元への想いとは

 僕の生まれは加東市で、山田錦の特A地区だと言われる地域です。この希少な地域で育てられた酒米がどれほど多くの人に喜ばれているか、農家の方々はどのくらい実感しているのかと、ある時ふと疑問に思ったのです。農家の高齢化や担い手不足のため、「仕方なく」酒米を作っているようにも見え、楽しさを感じられていないのではと感じました。

 そこで自社に農業部門を立ち上げ、2022年にはライスセンターを完備し、地元で収穫した酒米で地元のお酒を作ることを考えました。自分たちで作った米が美味しいお酒になり、地元の人に喜んでもらえることが目に見える形で実感できたことで、農家の方々のやりがいや楽しさに繋がったと感じた瞬間でした。

 「そのアイディアや行動力はどこから生まれるのか」とよく聞かれることがあります。19歳で親元を離れて海外留学をした経験は、自分を成長させ、地元への想いを深めるキッカケになったと思います。自分で考えたことを自分で決め行動に移していくことは、時に怖いですが、挑戦しなければ何も始まらない。自分の考えと想いを持って無理に周りに合わせない“自分らしい生き方”をしていきたいです。

仕事風景
Works

Works

SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

製造業の私たちに出来ること

スズ製のオリジナル酒器を制作し、山田錦の田んぼが見渡せる場所で制作した酒器を持って地域オリジナル銘柄の日本酒(村酒)やランチを楽しむ。その土地の空気・景色を五感で感じ、ここでしか出来ない体験と癒しの時間を過ごしていただく。

体験内容
  • 山田錦特A地区山田錦生産地で行う錫製のオリジナル酒器作り体験を実施。
  • 酒器作り後、山田錦を生産している田んぼへ行き、田んぼが見渡せる高台に設置した舞台の上で、制作した酒器を持って、地域オリジナル銘柄の日本酒(村酒)を味わったりランチを楽しみながら四季折々の味覚、音、香り、土、風を感じ、五感を研ぎ澄ませる。このような没入感のあるタイムスリップな体験をし、山田錦生産地のここでしか出来ないプレミアムな時間を過ごすことができる。(※酒器は、作ったその日に持ち帰り可能)
実施日
予約制で通年開催
所要時間
3時間
料 金
30,000円
備 考
体験日7日前までに電話又はホームページ内予約サイトから予約すること
ホームページ:https://nakago-guinomi.com/
お問い合わせ:株式会社藤原 |TEL 0794‐64‐5588(8:00-17:00)

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
株式会社藤原
所在地
兵庫県小野市万勝寺町268-258
WEB
http://www.k-fujiwara.jp/
SNS

Outline