在るべき形へ。
本質を見極め、正しい価値を見出す

MUJUN 合同会社シーラカンス食堂

小林 新也
Shinya Kobayashi

播州刃物工場で鍛冶屋体験(ペーパーナイフ製造と包丁研ぎ体験)

 実家は、先祖代々営む表具店。モノづくりが常にそばにある環境で育つ。“地域に根ざした文化や産業をつくる”という思いのもと、「播州刃物」のブランド力向上、後継者育成工場「MUJUN Workshop Ono」を設立し、地場産業が抱える後継者不足や生産減少の問題解決に取り組んでいる。
 プログラム体験では、工場でペーパーナイフの製造や包丁研ぎの技術を学ぶことができ、地域の伝統工芸とモノづくりの魅力に触れる貴重な機会にしてほしい。

EPISODE 01

地域に根ざす文化と産業をつくる

地場産業へ関わりを持ったキッカケを教えてください

 小野市は、そろばんと家庭用刃物の生産地であり、実家も先祖代々営む表具店。モノづくりの環境が、常にそばにある中で育ちました。一方で、時代の流れから、需要の減少や後継者問題、生産が減っている現状も間近で見てきて、このまま衰退していけば、日本文化や日本の地域力までもが弱ってしまうのではないかと考えるようになりました。そういった危機感や疑問から「なんとかしたい」と地場産業へ深く関心を持つようになります。

 “地域に根ざした文化や産業をつくる”という志を持ち、この世界へ踏み込みましたが、早々に、解決するには時間を要するような問題が多くあることに気がつきました。

デザイナーとして、良いデザインや開発をするだけでは業界の助けにはならない。人を育てるマネジメント力、アイディアを商品化するまでの推進力、販売チャンネルの引き出しを作る営業力。そういった力と、大きな覚悟を持って自分たちの産業に向き合う。

 やはり根本は“人を育てること”、つまり、後継者問題を解決する他ないのだと思い知らされました。

Interview

EPISODE 02

ブランドを育て、人を育てる

日本のモノづくりの価値とは

 海外から日本を見ると、テクノロジーが発展している一方で、古い伝統工芸・文化・産 海外から日本を見ると、テクノロジーが発展している一方で、古い伝統工芸・文化・産業が残っているというのはとても不思議に思うとのこと。代々受け継がれ、丁寧な手仕事が施された日本のモノづくりの美しさとその付加価値は、世界に誇れるアイデンティティです。

 産地の刃物に「播州刃物」と名付け、その価値が伝わるブランド力を持たせたことで、日本の伝統工芸に対する国内外の評価が高まるキッカケとなり、時折、後継志望者も訪ねてくるようになりました。そういった志を持った若手職人の育成のため、後継者育成工場「MUJUN WORKSHOP」を立ち上げ、今では刃物職人が自由に出入りする交流の場所として育ちつつあります。

 全ての文化はモノづくりで支えられています。それらを継承していくのは人であり、さらには自然がなければ成り立ちません。それは、この先の未来もずっと変わらないでしょう。

EPISODE 03

原点回帰

これからの目標を教えてください

 子どもたちや若い世代に、木や自然に触れてもらう・興味を持ってもらうキッカケ作りの場として、自然のなかでの“体験ごと”を増やしていきたいと考えています。

 体験をすることで、道具に触れ、知識・アイディアが生まれ、木々や資材の利活用へ繋がる。本来、モノづくりは里山で完結するもので、鍛治も同じです。材料・資材・燃料は、すべて自然にあるものを組み合わせて作っていました。しかし、効率化が重視された今では、材料は仕入れに頼り、モノづくりの工程さえも簡易になっているのが現状です。

 未来へ、次世代へ繋げるためにも、今一度原点へ帰り、本当の意味の“地場産業” “メイドインジャパン”のモノづくりをしていかなければなりません。そして、ひとつひとつへ込められた“丁寧さ”と“モノがたり”が、日本の誇るモノづくりの価値であると、これからも伝え続けていきます。

Works
Works

Works

SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

播州刃物工場で鍛冶屋体験(ペーパーナイフ製造と包丁研ぎ体験)

小野市地場産業の刃物の技術伝承と職人育成プログラムの学習、富士山ナイフの製造工程の見学、ペーパーナイフの製造体験、包丁研ぎ

実施日
通年で対応可能
所要時間
約2時間
備 考
・シーラカンス食堂に電話で予約
・シーラカンス食堂には専用の駐車場はなし
 神戸電鉄小野駅に公共駐車場が2台。小野市伝統工芸館の駐車場にバスは駐車可能(徒歩3分程度)

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
MUJUN 合同会社シーラカンス食堂
所在地
兵庫県小野市西本町527
WEB
https://www.c-syoku.com/
SNS

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