地球にも人にも優しい生地で挑戦
川上織物株式会社
- 川上 大輔
- Daisuke Kawakami
播州織産地多可町のオープンファクトリープログラム
川上織物株式会社代表。自社の得意な製品は、軽やかで優しい肌触りの「テンセル生地」。自然由来で地球にも人にも優しいこの生地は、現代のニーズにぴったり応える素材。生地作りでは品質と丁寧な仕上げを重視し、「播州織の魅力を多くの人に届けたい」という想いを胸に、国内外の市場に挑戦を続けている。
体験では、播州織の歴史や生地の設計・製織の過程、糸から生地に変わる様子を詳しく学べる「オープンファクトリー」を実施。
EPISODE 01
親への感謝と多可町への想い
今のお仕事を始めたキッカケを教えてください
実は歴史が好きで、社会の先生になるのが夢だった時期もありました。ただ何度も根気よく教えるのが苦手で…それは夢半ばで終わったのですが、家業が長く播州織に携わっていたこともあって「いつかは継ぐぞ」と心に決めていました。大学に4年間通わせてくれた親への感謝もありますし、やはり多可町が好きで、本当に住むには抜群なんです。大学で一度地元を出てからより一層感じました。
父の勧めもあり、大学卒業後は地元の金融機関に就職。結婚して子どもが生まれたタイミングで家業を継ぐことにしました。
僕らの仕事は生地作りなので、どこのメーカーでどの商品になっているのか分からないことも多いです。そんな中でも、「この生地に一目惚れして」と工場に足を運んでいただき、嬉しい声を直接いただけたときには、本当にこの仕事をやってよかったなと思えます。
Interview
EPISODE 02
素材を活かす生地作り
生地作りで大切にしていることを教えてください
私たちが得意とするのは、軽やかで優しい肌触りの「テンセル生地」です。ユーカリの木から抽出される再生繊維であるテンセルを、より細い糸で高密度に織ることで、肌触りが良く吸水性に優れた生地が生まれます。糸が繊細になる分、製織の過程では切れやすくなるため、時間をかけて丁寧に仕上げています。
この生地を使って「結び」というエンディングドレスを開発しました。“最期のお見送りを心地よい生地で包み、故人にとって良い旅立ちとなるように”という思いを込めています。糸の染色から製織、仕立てまですべての工程を多可町の職人が手がけています。
自然由来で地球にも人にも優しいこの生地は、これからの時代にさまざまな場面で求められるようになると思います。その時に応えられるよう、私たち生産者も力を蓄え、活動を継続していかなければならないと感じています
EPISODE 03
新たな挑戦を
これからの夢や目標を教えてください
播州織をもっと多くの人に知ってもらうことを最優先に考えています。播州織という名前だけでなく、生地の良さをもっと伝えたい。着心地や風合い・色合いなど、播州織でしか表現できない付加価値を生み出す取り組みをこれからも続けていきたいです。
そして、播州織を知り、柔軟な発想を持った若者たちによって、生地からデザイン・縫製まで勝負できるようになれば、播州織はもっと面白くなり、可能性がさらに広がっていくと思います。そのためにも、僕が所属する多可町の若手職人たちが集まったグループ「播州織ネクストジャパン」の活動を通して、若い世代に何かを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
同業者であり、同じ想いを持つメンバーは、それぞれの技術と経験、そして播州織を担う者としての熱い思いを共有しています。“僕らの播州織”を知ってもらい、産地・多可町の活性化のために、さまざまな挑戦を続けていきたいです。
- 仕事風景
- Works
Works
- SDGs体験型地域プログラム
- SDGs Programs
Experience
播州織産地多可町のオープンファクトリープログラム
工場のオープンファクトリーを行い播州織産地としての歴史、生地の設計・製織まで糸から生地に変わる様子を詳しく知ることができる。
- 実施日
- 各事業者や万博交流活性化推進協議会などが開催するオープンファクトリー等のイベントにて実施。
- 備 考
- お問い合わせ:多可町商工観光課
TEL 0795-32-4779|メール shoko@town.taka.lg.jp
Program
- プログラム提供者概要
- Overview
- 所 属
- 川上織物株式会社
- 所在地
- 兵庫県多可郡多可町八千代区下三原231-1
Outline