地域の宝“山田錦”の情熱を
語り継ぐ

山田錦語り部

平川 嘉一郎
Kaichirou Hirakawa

目いっぱい楽しむ山田錦

 山田錦の生産農家であり、語り部として山田錦の歴史や特性について知識と魅力を発信する。児童・生徒向けの食育や環境学習の場、山田錦生産者向けの技術研修や講演会など、多くの場を活用して北播磨・加東市の山田錦を伝える役割を担う。
 北播磨は、日本一の酒米山田錦生産地として日本酒作りを支えてきた。特に加東市は、山田錦誕生の聖地であり、生育に適した特別な地域だ。体験では、これらの歴史や特性をわかりやすく説明し、酒器作りや酒蔵見学、飲み比べを通じて山田錦への理解を深めてもらう。

EPISODE 01

北播磨は山田錦の“ふるさと“

“山田錦語り部”とはどういった活動をするのでしょうか

 北播磨は、日本一の酒米山田錦生産地として日本酒作りを支えてきました。特に加東市は、酒米の王様「山田錦」誕生の聖地であり、気候、地形、土壌が最も生育に適した特別な地域です。

 語り部たちは始めに、山田錦の歴史や特性、山田錦から生まれる日本酒の特徴、さらには話し方の研修を受講しました。これにより、山田錦に関する知識と理解を深め、語りの技術を向上させることで、山田錦のブランディングを守る語り部となります。

 児童・生徒向けの食育や環境学習の場、山田錦生産者向けの技術研修や講演会など、さまざまなシーンで山田錦への熱い想いを語ることで、北播磨の地域活性化に寄与しています。私自身も加東市内をはじめ、日本や世界へ山田錦の魅力を語り継いでいくために、日々奮闘しています。

Interview

EPISODE 02

“新定”の歴史を感じながら味わう

昔と今で酒米作りに変化はありますか

 山田錦は古くから「村米制度」によって、生産地と高品質山田錦を求める蔵元が取引契約を結んでいます。私の田がある加東市新定(しんじょう)地域は、山田錦最高品質を示す特A-a地区で、かつて灘五郷の蔵元と村米を結び「大谷米(おおたにまい)」で名を馳せ高値取引されていました。

 しかし、時代の変遷により村米制度を継続あるいは断念する地域、また村米制度の復活や新規に村米を行う地域など様々な取引形態を迎えていますが、実際には村米制度を結べない地域が多いのが現状です。

 私の地域も村米制度を断念し、自分たちの山田錦がどの蔵元に届きどんなお酒になるのか。美味しいと評価され喜んでもらえる実感すら無く残念な気持ちで一杯でした。

 そんな折、特A-a地区山田錦の歴史が愛飲家に伝わる日本酒造りの誘いを受け出来たのが純米無濾過原酒「新定」です。村米制度時代の「大谷米」の標線札を米俵に結び付けた出荷スタイルをラベル化し、「新定」の歴史を感じながら味わってもらえる。自分の作った山田錦が日本酒になる実感が嬉しく、この地域を守っていくため誇りを持って酒米作りに励みたいと意識するようになりました。

EPISODE 03

伝統と変化を交えて

これからの展望を教えてください

 私は山田錦の語り部であり、山田錦を生産する農家でもあります。山田錦について誰よりも詳しいだけでなく、これからも良い山田錦を作り続けていかなければなりません。高齢化による担い手不足は、酒米作りを続ける上で向き合わなければならない課題です。

 フランスのブルゴーニュ地方では、生産者自らが育てたブドウでワイン造りから販売まで行うドメーヌがあります。北播磨も「村米制度」の伝統を、担い手不足改善に向けた発展が求められています。実際に北播磨にドメーヌを実践する地域と酒蔵があります。ドメーヌが難しいなら蔵元が出向いて山田錦の栽培に関わってもらうような新しい生産スタイルも、一つの方法ではないでしょうか。

 生産者だからこそ伝えられる想いを交え、これからも北播磨、そして加東市の山田錦の歴史を語り継いでいきます。

仕事風景
Works

Works

SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

目いっぱい楽しむ山田錦

「加東市産山田錦と歴史」について語り部による講話(30~40分)
「山田錦の酒器(ぐい呑み)」を作る陶芸体験
酒蔵見学と飲み比べ

実施日
午前9:30~、午後12:30~ 月曜日・祝日・年末年始受入不可。
※午前のプログラムの場合は、昼食を済ませ13:45に再集合
所要時間
4時間程度
料 金
1人:8,500円(10名以上の場合)
山田錦語り部講話+陶芸教室+神結酒造で酒蔵見学、飲み比べ、買い物
※最大20名(陶芸教室、公民館会場費、語り部謝礼、酒器送料含む)                                  
※昼食代は含まれておりません。ご紹介、手配も可能です。
※9名以下の場合は、加東市観光協会と要相談
※料金は、加東市観光協会へ支払
備 考
予約方法:加東市観光協会(0795-48-0995)に電話(営業時間:8:30~17:15 定休日:水曜日)。2週間前までにご予約ください。

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
山田錦語り部
所在地
兵庫県加東市新定1694

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