歴史・技術の継承とともに新しい風を

橋本裕司織布

橋本 裕司
Yuji Hashimoto

播州織産地多可町のオープンファクトリープログラム

 祖父が創業した織物工場を27歳の時に“三代目”として継ぐことを決意。新たに開発し知的財産権を取得したオリジナル生地「流風織」は低速で丁寧に織られ、独特の見映えと優れた通気性や軽量性を持つ。5年かけて試作したこの生地は、産地に新しい風を吹き込む存在として注目される。今後は海外展開を目指し、製品の付加価値を伝え高める商品開発をしていく。
 体験では、工場のオープンファクトリーを行い播州織産地としての歴史、生地の設計・製織まで糸から生地に変わる様子を詳しく知ることができる。

EPISODE 01

“播州織ネクストジャパン”

今のお仕事をはじめたキッカケを教えてください

 祖父が創業し、その後父が営んでいた織物工場を27歳の時に“三代目”として継ぐ決意をしました。学校卒業後は別の会社へ就職していたのですがそこから職人の道を目指すことを決めます。

 230年以上の歴史ある産業「播州織」は確かな技術力と繊細で絶妙な色合い、肌触りの良さが人々に愛され受け継がれてきました。今やトップブランド・セレクトショップの製品に使用され国内外から注目を受ける産業へ。様々なオリジナル製品が生み出されています。

 多くの人の幸せに直結していると自覚できたことが、僕がこの仕事を続ける“原動力”となっています。また僕は「播州織ネクストジャパン」という播州織の若手職人が集まったグループの一員でもあります。それぞれの職人の技術と経験をグループの強みにも変え、播州織を背負う者として次世代へ技術を繋ぎ守っていく。産地・多可町の活性化と“僕らの播州織”の継承を若手職人から強く発信していきます。

Interview

EPISODE 02

時代の変化に合わせたアップデート

お仕事のやりがいや大切にしていることを教えてください

 “世の中にない新しい価値を創る事が出来る”僕が織職人として意識している事です。
播州織産地は分業制であり、産地の商社が生地の規格・設計を行って糸を買い付け、プロの職人たちが各工程を専属で担当するのが主流です。しかし橋本裕司織布は、糸の仕入れから規格・設計・各工程への依頼、一部の商品は自己完結で制作し直販しているため、お客様の声を直接受け取ることができるのが強みであり大きなやりがいにつながっています。

 また、織物は規格や糸の浮き沈みによって色の見え方や肌触りが変わります。平・綾織りから始まり、父の代では「ドビー織り」を追求して小さなドット柄や産地になかった絣織(かすりおり)を、たて糸を巻く業者と共同で技術開発しました。また、通常の織物は数千本の糸を巻いた「たて糸ビーム」1つで織るところ、たて糸ビームを2つ同時に織る2重ビーム織物の製織を可能にし、さまざまな生地を生み出すことができるようになりました。

 隣り合う糸同士の結びつきの変化によってさまざまな織模様が表現できるため、新しいオリジナルの織柄に挑戦することで、時代の変化に合わせて常にアップデートしていくことを心がけています。

EPISODE 03

涼やかに"包まる"心地よさ

これからの夢や目標を教えてください

 僕が新しく開発した「流風織」は、播州織の新たなオリジナル生地です。その名の通り、風が流れ通るような質感の生地は、通気性・伸縮性・軽量性を追求し、開発になんと“5年”もの時間をかけ、糸の配置や織り方など“100以上”の試作を行いました。
 独特な形状と適度な伸縮性を持つ「流風織」製品は、優しく包まれているような着心地から「Kurumu」という名前を付けて商品化し、クラウドファンディングでも成果をあげました。これによって産地にも新たな播州織の風を吹き込むことができたと思います。

 今後は海外展開を目指し、播州織の歴史とともに製品に付加価値を正しく付けて、海外でも勝負できるような製品開発を進めていきます。

仕事風景
Works

Works

SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

播州織産地多可町のオープンファクトリープログラム

工場のオープンファクトリーを行い播州織産地としての歴史、生地の設計・製織まで糸から生地に変わる様子を詳しく知ることができる。

実施日
各事業者や万博交流活性化推進協議会などが開催するオープンファクトリー等のイベントにて実施。
所要時間
1時間程度
備 考
お問い合わせ:多可町商工観光課
TEL 0795-32-4779|メール shoko@town.taka.lg.jp

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
橋本裕司織布
所在地
兵庫県多可郡多可町中区岸上391
WEB
https://hashimotovintage.jp/
SNS

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