心穏やかに。
人々に寄り添い、浄化する

曹洞宗 吉河山 永天寺

宮﨑 浩明
Hiroaki Miyazaki

前衛書道のパイオニア「上田桑鳩」を知る

 「曹洞宗 吉河山 永天寺」の住職として、人々に寄り添う姿は、忙しなく過ぎていく毎日の心の拠り所として多くの人に求められる。

 体験では、鳥の声や木々の揺れる音を感じながら坐禅を行う。坐禅は、頭で考えていること、心で感じていることを整理し、ひとつずつ浄化していく。“無”になる時間を作ることは、心を保つために非常に大切なもの。

EPISODE 01

不思議なご縁の巡り合わせ

住職になるまでのプロセスを教えてください

 高校在学中に、ここ「曹洞宗 吉河山 永天寺」へ弟子入りしました。私自身は、お寺を手伝いながら数年の社会人経験を経て、後を継ぎたかったのですが、師匠は「本山への修行には若いうちに行ってきなさい」と。大学卒業後、福井県の大本山 永平寺へ修行に出向きました。

 後々、私にとってこの1年が人生の分岐点となります。1年の修行期間中に、実家のお寺である「陽春寺」の住職であった父と、師匠が同時期に亡くなりました。今思えば、こうなることを師匠は悟り、私を本山への修行へ送り出したのかと思うほどです。そうして修行から戻り、永天寺の住職となります。

 いつかは…と思ってはいてもこんなにも早く住職の道へ進むとは思っていませんでした。しかし、これもご縁の巡り合わせでしょう。祖父や父、そして師匠のお寺を長く護持してほしいという思いがそうさせたのかもしれないと、今では思います。

Interview

EPISODE 02

心に寄り添うお勤め

お仕事のやりがいを教えてください

 お寺のお勤めのなかには、お葬式や供養など、悲しみと寂しさを身近に感じることが特に多くあります。そういったことに対して、自身のなかで整理できない、なんとも言えないような気持ちがずっとありました。しかし、あるときお勤めをさせていただいたご家族から「さみしさはまだ消えないけれど、和尚さんのお経に心が助けられ、亡くなった両親への感謝の気持ちが芽生えました」と声をかけていただくことがありました。

 心に寄り添い、穏やかに、和やかにできるのが住職というお仕事なのだと自身のなかで腑に落ち、そこからお勤めに対して揺らぐ気持ちは消えました。

 住職としてできること、住職にしかできないことがあるのだと、今では誇りに思います。

EPISODE 03

忙しなく過ぎていく毎日の心の拠り所として

これからの夢を教えてください

 日々、お寺には、悲しみや寂しさ、辛さを抱えた方が大勢来訪されますが、なかにはお寺は敷居が高い、行きにくいというイメージを持たれる方も多いです。そのイメージを変えるためにも、お寺での坐禅体験や写経体験などの取り組みをこれからも積極的に取り入れていきたいと思っています。

 坐禅は、老若男女世代を超えて実は現代に生きる人たちこそやってほしいものです。忙しなく過ぎていく毎日のなか、頭で考えていること、心で感じていることを整理し、ひとつずつ浄化していく。“無”になる時間を作ることは、心を保つために非常に大切なものです。

そうして、永天寺が何十年、何百年先も皆様の心の拠り所であり続けられるよう、精進してまいります。

Works
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SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

前衛書道のパイオニア「上田桑鳩」を知る

三木市吉川町出身の書道家であり、前衛書道のパイオニアである上田桑鳩氏は、書を芸術として昇華させるべく陣頭に立った。書の表現は、伝統的な古典の書を基盤としながらも、常に新しい書の表現を模索し続け、きれいな字を書くことにこだわらず、墨のカスレや空間を上手く使って書く。本プログラムでは、実際に上田桑鳩の作品を見ながら、プロの書道家による解説を聞くもの。
出身地である三木市では、上田桑鳩氏の貴重な作品が多く保管・展示されている。中でも体験拠点である永天寺では、桑鳩が書いた襖をはじめ、多くの作品に触れることができる。

体験内容
  • 拠点となる永天寺にて、寺社内に直接書かれた作品や、貯蔵されている作品について見学し、解説を受け作品に対する想いを学ぶ。
  • 実際の作品に触れながら、プロの書道家による解説を聞くことができる。

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
吉河山 永天寺
所在地
兵庫県三木市吉川町楠原572
WEB
https://eitenji.jp/
SNS

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