試行錯誤をやめることなく
挑み続けた

NPO法人 北播磨ラベンダー

森本 寿文
Toshifumi Morimoto

多可の香色癒(こしきゆ)健康ツアー

 1本1本に溢れるほどの愛を注いで、約20年。森本さんが理事長を務める「NPO法人北播磨ラベンダー」が運営する「ラベンダーパーク多可」は今では自然栽培で約20,000株を育てる西日本最大規模のラベンダーの名所となり、毎年多くの人が訪れる憩いの場となっている。

 体験では、多可町の自然豊かな街並みとラベンダーの香色癒(香り・色・癒し)を五感で楽しみ、毎日の暮らしの中で疎かにしがちな“癒しのひととき”を体感できる。

EPISODE 01

はじまりは石ころだらけの斜面

設立のキッカケを教えてください

 当時の多可町は、交通の利便性の向上のため県道にトンネル建設の計画案が浮上していました。それは地元住民の悲願でもあり、そこに地元のランドマークとなるような集客力のある施設が建てば地域活性化にも繋がると、住民・役場・県と多くの意見を交わしました。

 そんな中で町長が北海道・富良野を訪れ、ラベンダーに出会います。
ラベンダーは、高温と梅雨の影響で“長野県よりも南ではうまく育たない”と言われていましたが、ラベンダーに魅せられた住民たちは“どうにか育てることはできないか”、“なんとしても多可町にラベンダーを咲かせたい”という熱い思いに突き動かされ、この土地に適した品種を見つけることから始めました。

 元々、この土地は担い手不足で空いた牧草地。雑木林で石ころだらけの斜面でした。住民ひとりひとりの手で石の除去をはじめ、土壌の改良を進めました。

 多くの苦労と努力、挑戦を経て、ようやく迎えた開園。施設の維持管理はもちろん、イベント運営や広報活動、商品開発などラベンダーを育てていくこと以外にもやらなければいけないことは多くあります。2007年にこれらの事務局機能を果たす「NPO法人 北播磨ラベンダー」を発足しました。普段は、お客様を相手にラベンダーパーク内の案内や施設の運営に関わることを中心に活動し、県が行う「トライやる・ウィーク」など学生の体験活動の受け入れにも積極的に協力しています。

Interview

EPISODE 02

愛を込めた“1本”の成長に心動かされる日々

仕事のやりがいを教えてください

 毎日ラベンダーに向き合っていると、本当にラベンダーが大好きになります。我が子のようにだんだんと愛おしい対象になるというか…。枯れてしまい上手くいかなかったときはどうしてだろうと悩み、綺麗に咲いた時はみんなで手を叩いて喜び合います。日々試行錯誤をしてきているからこそ一つの成功が何倍にもなってうれしく感じ、そこに関わってきた人たちの努力と苦労を思い出すと本当に「ようやってきたな」と思います。

 しかし、相手は植物であり1本の生き物。天候によって成長を左右され、まだまだ分からないところもたくさんあります。これからも、園の職員をはじめ地域の人たちと協力しながら試行錯誤を続けていかなければならないと思います。

EPISODE 03

たくさんのご縁で末長く

これからの目標を教えてください

 開園前、多可町でラベンダーを育てようと始めた当初から、地域をあげてあらゆる知恵を持ち寄り、試行錯誤を繰り返してきたから「ラベンダーパーク多可」の今があります。

 今では秋冬のラベンダーのオフシーズンでも自然を体感でき植物を楽しめるスポットとして足を運んでもらえるように、園内には紅葉の木を植え家族でも楽しめる体験型ワークショップを実施しています。また、ラベンダーの香りには、リラックスや快眠などの癒し効果、認知症予防などの健康的効果が様々期待でき、園でもラベンダーを使ったハーバリウムやルームスプレーなど多くのラベンダー商品の販売をしています。これらも元々は“お客様の知恵”と“職員の知恵”で開発をスタートさせたものでした。

 この園の歴史を語る上で“人とのご縁”で生まれたものは計り知れません。石ころだらけの斜面から住民ひとりひとりの手で始まったこの園も、この先もたくさんの人の手によって多くの楽しみが生まれることを期待します。

 ラベンダーを通して生まれる“人とのご縁”を大切に、この園を末長く育てていきたいです。

仕事風景
Works

Works

日頃は、お客様を乗せてラベンダーパーク内をご案内する森本さん。

日頃は、お客様を乗せてラベンダーパーク内をご案内する森本さん。

館内では、様々なラベンダー商品を販売しています。

館内では、様々なラベンダー商品を販売しています。

SDGs体験型地域プログラム
SDGs Programs

Experience

多可の香色癒(こしきゆ)健康ツアー

多可町内で採れたラベンダーから抽出した精油やフローラルウォーターを使用した香りと色に癒される体験(ラベンダーの摘み取り、精油抽出見学、ルームスプレーづくりなど)

体験内容
  • ラベンダーと言えば北海道富良野が有名だが、兵庫には西日本最大級の「ラベンダーパーク多可」がある。
  • まちおこしのために出来たこの施設では、5月から7月にかけて色とりどりのラベンダーが鑑賞できるほか、7月頃にはラベンダーの摘み取り、精油抽出見学、ルームスプレーづくりなど、多可町産ラベンダーの癒やし効果を存分に活用し、心も体もリフレッシュできる体験も用意されている。
  • 植栽や清掃など、運営には地元の住民が参画しており、交流が楽しめる。
実施日
通年、(ラベンダーの摘み取り、精油抽出見学は7月上旬ごろ)
所要時間
体験は30分程度
料 金
ラベンダー摘み取り 50本300円 、ルームスプレー作り700円など
シーズン中は別途入場料金が必要(500円)

Program

プログラム提供者概要
Overview
所 属
NPO法人 北播磨ラベンダー
所在地
兵庫県多可郡多可町加美区轟799-127
WEB
https://www.lavender-park.jp/
SNS

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